台風で過剰に雨漏りするお宅と業者による告知義務違反

台風の影響に伴う災害の被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
前回の台風15号、そして今回の台風19号と本当に自然の驚異を感じました。

実は、この台風の最中、大変なことが発覚したお家がありました。
1階が作業所、2,3階が住居の建物を中古で買われたお客様なのですが、無事売買も成立し、内装も終わったのでお引越しをされたところに、台風15号が来たそうです。

すると、壁や窓枠から「なんかのコントかな?」というくらい水がジャージャー吹き出てきたのだとか。お客様はびっくりし、漏水調査などを含めた修理依頼できる業者を探し、弊社にご連絡を頂きました。

【水道を使った目視による他現場の漏水試験】

私の方で、ご依頼を受けてお見積もりのためにお客様宅へ伺ったところ…建物を見て驚きました。こちらの写真、おかしなところがあるのですがお分かりになりますでしょうか。

ルーバーサッシ窓

実はこの窓…窓周りにあるはずのシールが無いのです。壁に窓サイズの穴が空いていて、窓をはめ込んでいるだけ。
本来はサッシ窓と外壁の間の隙間を埋めるシールが埋め込んでいるはずなのですが、まさにコーキング剤も打っていない状態です。

【専門シール職人による窓枠のシール作業事例】

しかも施工もうまくいっていないので、窓が閉まっている状態にも関わらず一番下部分に隙間が空いています。
それなので、窓枠の隙間からは水がジャージャー吹き込み放題に……。

そしてさらには、壁からも染み出す水。まるで古代遺跡マチュピチュの水路のようにあちらこちらから水が染み出しているのを拝見したのですが、どうも通常の雨漏りとは違う感じです。
通常であれば、多少なりとも防水加工が施してあるところの隙間から染み出してくるので、ここまでの雨漏りはありません。

この建物の外壁は軽量発砲コンクリートであるALCの壁にタイルを貼ったものなのですが、かなり雨を吸ってしまっているように見えました。

ALCの外壁塗装

このままですと、壁の中の水による湿気で、カビが出て健康被害などがでる可能性もあります。
こうしたことは、安い施工をした時におこるのですが、人件費を安くするために、塗装業者がついでに防水工事を行ったり、防水業者がついでに塗装工事を行ったりすることがあります。
もちろんまれに知識のある塗装業者、防水業者で工事が上手くいく場合もあるのですが、専門業者ではない職人が行った場合、欠陥が出ることが多いのです。

ルーバー窓

今回この施工をされた業者も同じかどうかは、まだ詳しく調べていないので分かりかねますが、窓枠についても、シールを最初から考えていない窓のはめ込み方なので、そもそもそういった防水作業をしない業者さんなのかもしれません。

こう書くと、「業者なのに防水をやらないなんてあるの?」と思われるかもしれませんが、業者にはそれぞれ「塗装業者」「防水業者」「大工」など専門に分野があります。
この業者の差は例えるのであれば、柔道と空手のような差です。

柔道と空手は道着こそ同じなので見た目が似ているのですが、戦い方もルールもまるで違う競技です。柔道の選手が急に空手の試合に出てもルールが違うため戦うことはできません。
それと同じで、塗装業者や防水業者は一般の方からみれば、同じ工事業者なのですが、専門分野が違います。

【防水専門業者による他現場の屋上防水工事】

そのため人件費を安くしようと、工事業者に本業でないことをさせてしまうと、このようになってしまうのです。
ちなみに、この建物の売買契約書には「雨漏りなし」と書かれていたそうなのですが、お客様が作業場をスケルトン(壁などを取り払い骨組だけの状態にすること)にしてみると、壁の裏にタライを発見。

この建物の購入の際には、テレビでCMを流しているような大手の仲介業者が入っているそうなのですが、この雨漏りは大きな告知義務違反です。
このタライの件だけでなく、シールの無い窓枠などからすると、もともと雨漏りはずっとしていたはずなので、雨漏りを分かっていて売りつけたのであれば、告知義務違反どころではありません。

現状元オーナーの方、元オーナーの弁護士、仲介業者、購入者であるお客様で話し合いをされているのですが、一向に賠償について話が進んでいないようです。
それなので、このような現状が分かっていながら私どもも手を出すことができず…未だ工事はもちろん、どの範囲まで工事をするかが分からないため、契約もできない状態です。

1日も早く、賠償についての話がすすみ、お客様が安心して暮らせるように補修工事を行えればと思います。

また、こちらとは別のお宅で、防水工事をして2年で雨漏りをしてしまった家がありました。通常であれば、防水工事には保障があるはずなのですが、この家の場合は保証なしの状態で契約を結んでしまい、尚且つ頼んだ防水業者が小さな個人店だったため廃業されていて請求もできず、わずか2年で防水工事のやり直しをすることになってしました。

防水工事は実際に効力を発揮しない保証もあるため契約時に条件等の確認も必要ですが必ず保証はあります。
防水工事をする際は、是非とも業者にお尋ねになり、保証について確認されることをおすすめいたします。

外壁塗装の保証・保険

さまざまなお宅を拝見して思うのですが、安い工事というのは必ずどこかにほころびがあります。
単純に考えてみてください。
安くやるために安い人件費の人間を使う、安い人件費の人間は仕事ができないから安いのです。それで良い工事ができるはずがありません。

最悪の場合は、元の工事が悪いといくらその後で手を入れようとしても、手の施しようがない場合もあります。
防水工事というのは様々な種類があるのにもかかわらず、あまり日の目を見ない工事ではあるのですが、家を守るために欠かせない工事です。

この記事をきっかけに、是非とももう一度、防水の大切さを振り返って頂けたら嬉しいです。

ちなみに目視以外では赤外線サーモでも原因を特定できる場合があります。

過去の雨漏り調査の動画です。ご覧ください。

若い時から大手の大規模改修工事に携わり、官公庁の仕事も多くこなしてきました。知識は当然のこと現場も正しい仕事ができて当たり前です。常にお客様の立場に回り物事を考えて行動しています。 漏水対策も得意分野で2人の子供を抱えて毎日仕事に励んでいます。防水施工技能士。

些細なことでも構いませんのでお気軽にご連絡ください

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